中高生・大人の出っ歯
MAXILLARY PROTRUSION
出っ歯で
お悩みの方へ
Maxillary Protrusion
「出っ歯」は上の前歯が下の前歯より5mm以上前に出ている状態で、専門的には「上顎前突」と呼びます。
この場合、上の前歯が常に下唇にあたるようになり自然に唇を閉じることが難しくなります。無理に閉じようとすると、下唇を前に突き出して上唇に合わせる状態となり、笑った際に、上の前歯のみが目立つため、審美的にもあまり好ましくありません。
また、見た目以外にも、さまざまなデメリットを引き起こす原因となります。
出っ歯になる4つの原因
同じ「出っ歯」でも、歯の傾きに起因するものと骨の大きさに起因するものに分かれます。
上の前歯が大きく前に傾いている、下の前歯が大きく後ろに傾いている、上あごの骨が前に大きくて出ている、下あごの骨が小さくて後ろに下がっているなど、骨と歯を合わせて4つの原因が考えられます。
上の前歯が大きく前に傾いている(歯性上顎前突)
上の前歯には適正な歯軸が存在しますが、この歯軸に反して上唇方向に倒れている状態になると、出っ歯を引き起こします。 この症状を、専門的に「歯性上顎前突」と呼びます。
ご自身でチェックする方法としては、直立した際に上の前歯の前面が床とほぼ垂直になっているかを確認する方法があります。
前歯の先が前方に倒れていて、垂直でない場合は、唇側傾斜が生じている可能性があります。その際は、歯科医院でセファロ分析を受けられることをおすすめいたします。
下あごの骨が小さくて後ろに下がっている(骨格性下顎前突)
上の前歯の傾きが大きく前方に倒れていなくても、下あごの骨が後方に位置していることで”出っ歯”を引き起こすことがあります。この症状は、専門的には「骨格性下顎前突」と呼ばれています。
上あごの前歯と下あごの前歯の間に小指が入りそうな隙間がある場合、下あごの骨が相対的に小さい可能性が考えられます。 そのような症状が見られる際は、歯科医院でセファロ分析を受けられることをおすすめいたします。
Point!三次元CTと頭部X線規格写真を標準使用しています
矯正治療を始めるにあたって、必ず頭部X線規格写真(セファロレントゲン)を撮影することが、日本矯正歯科学会の標準治療指針にも記されています。
頭部X線規格写真は特殊なレントゲン機械でしか撮影できません。顔の骨格の特徴を調べるためのレントゲン装置で、
- 同じ年代の平均的な骨格との比較
- 上顎骨と下顎骨の位置関係
- 歯の傾斜
- 硬組織(骨や歯)と軟組織(頬や唇)の関係
などを分析することができます。
歯並び専門の歯科医院以外では、セファロ分析用のレントゲン撮影装置を導入しているところは少なく、撮影のために大学病院などに赴く必要があります。しかし、当クリニックでは院内にセファロ分析用のレントゲン撮影装置を設置しているため、必要なときに即時撮影・診断・分析を行うことができます。
上顎前突の治療方法
上あごの前歯が前方に傾斜している場合、前歯を後方に移動させる必要があります。
しかし、前突した前歯を単に後方に押し込むだけでは、全ての歯を適切に配列するためのスペースが不足し、後方の歯と干渉してしまいます。
そのため、主に以下の2つの方法で前歯を後退させるためのスペースを確保します。
- 上顎第一小臼歯および第二小臼歯を抜歯する
- 上顎臼歯を後方移動させる(ヘッドギアや矯正用アンカースクリューを併用・親知らず【第三大臼歯】抜歯の可能性あり)
必要とするスペースの量、個人の顎骨の大きさ、残存する歯数などによって、適切な方法が選択されます。
もともと歯列の叢生が重度で、歯が歯槽骨内に適切に配列できない場合は、第一の方法で抜歯を行う必要があります。
スペース不足が軽度な場合や、上顎骨の後方に十分な移動量が見込める場合は、第二の方法で対処することが可能です。
治療期間=歯を動かしている期間
治療に要する期間は、歯の移動量に依存するため、移動量が大きいほど長期化します。
抜歯を必要としない場合、治療期間は1年数か月ほどです。一方、抜歯を行った場合や先天的に欠損歯がある場合は、一般的に1年半から2年半ほどを要します。また、舌側矯正(裏側矯正)やマウスピース矯正の場合、唇側矯正(表側矯正)と比較して、治療期間が長くなる傾向があります。
上顎前突の治療前における注意点
- 骨格的な問題が大きい場合は外科矯正手術の併用が必要な可能性があります
- 小臼歯抜歯が必要かどうかの判断はX線規格写真やCT写真の分析と模型分析などが必要です
- 他院で「歯を削って透明マウスピース矯正すれば治る」、「透明マウスピース矯正すれば奥歯を後ろに動かして前歯を押し込める」と言われた場合は日本矯正歯科学会認定医のいる矯正専門クリニックで再度相談することをおすすめします
理由はこちら
出っ歯治療の症例
出っ歯を治療して美しいフェイスラインへ
出っ歯の方が矯正治療を受けると、「側貌(フェイスライン)」が整うことも期待できます。 口元の突出感がなくなり、すっきりとした側貌になることは、大きなメリットの一つです。
Before
After
主訴 | 前歯が出ている、口元が出ている、出っ歯を治したい |
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診断名 | 上顎前突・叢生・第二大臼歯萌出不全 |
年齢・性別 | 14歳 女性 |
治療期間・回数 | 3年 |
治療方法 | 唇側装置(ワイヤー矯正) ヘッドギア 舌側弧線装置 顎間ゴム 上下顎小臼歯抜歯 |
費用 | 矯正装置代(抜歯症例):¥902,000 再診料¥6,600 |
デメリット・注意点 | 抜歯が必要 矯正装置により虫歯のリスク 歯根吸収のリスク 保定装置の不使用による後戻りのリスク |
備考 | 出っ歯も口元もきれいになりました |